大阪スペシャルステージ観劇レポ

 皆さんはコンサートやライブに行くだろうか?

 私はこう見えても、陽キャでパリピ、今はご時世柄なかなか行けなくなってしまっているが、コロナ禍に入る前は毎年冬になれば、福山雅治の男性限定ライブに行く、やれ近くに太田裕美が来るといえば慌ててチケットを取る様な、イケイケの若者ムーブである。

 そんな私ですが、この夏、とある超ビッグなコンサートに遊び行ってきた。業界ではもう一番でかく、誰もが羨むあのコンサート、そう……

 

 『おかあさんといっしょスペシャルステージ2022』である。

 そう、業界(幼児界隈)では一番でかいイベントである。

 ここで、前提として覚えておいていただきたいですが、おかあさんといっしょは子ども向けのコンテンツである。仮に、どれだけおかあさんといっしょが好きで毎朝出勤前に見ていたとしても、そのコンサートのチケットを大の大人が押さえて、それでコンサートに来られる子どもが減ってしまうなんてことは言語道断、絶対にあってはならない、これがEテレガチ勢鉄の誓い、最低限にして最大のマナーである。

 私だってそれは心得ているので、この10年、いや、幼少期から数えれば、えっと私は今17才のはずなので17年ですね、17年間、行ってみたいという気持ちはあれど、抑えに抑え苦痛の日々を過ごしていたのだ。

 しかし、何故、今回、とうとう見に行ってしまったかというと、それは勿論マナー違反などではなく……。

 姪をダシに使ったのだ!!!

 私には今年3歳になる姪がいる。こんなチャンスはもうそうそうない。姪が行くというのであれば、仕方なくおかあさんといっしょスペシャルステージに行くという大義名分も立つだろう。

 誤解しないでいただきたいのだが、私は姪のことなんて何とも思っていない。目に入れても痛くないくらいに溺愛してる程度の関係で、チケットをマナー違反せず買う為の手段くらいにしか姪のことは見ていない。かわいいなぁ本当に。

 まぁそんなこんなでつまりは、合法的におかあさんといっしょスペシャルステージに潜り込む手段を手に入れたのだやったぜ!

 

 さて、戦い当日、姪を抱き大阪城ホールに辿り着いたわけだが、こちらの布陣は姪、兄(姪の父)、なびるなの3人でお送りします。母親がいないのは不仲とかじゃないよ!もうすぐ2人目が生まれるからだよ!甥だよ!

 会場には見るからに漂う殺気、純粋に楽しもうという子どもに、子どもを楽しませようという母親、そして若干帰りたそうな父親とさまざまである。

 そして、席に着き、うちわを見ると若干不穏な気配を感じた。5曲目である。いや、これはあとにおいておこう。

 

 コンサートが始まる。ゆういちろうおにいさんが、まやおねえさんが、あずきおねえさんが、ミモモが、ルチータが、ヤコロが元気に現れる。ヤコロの足が短すぎて階段が一段ずつしか上れないの、最高にかわいい。まことおにいさんは体調を崩しているらしく、声が出せない状況だったが、無理してステージに立ってくれている、ボクの為に。
(声を出せない代わりにあずきおねえさんが通常の2倍喋る羽目になっていたのはちょっとおもしろかった)

 ボクはこの瞬間、童心に帰っていた。

 当然だ。

 ボクという人間の創作活動の馴れ初めはおかあさんといっしょである。実は、ボクは幼い頃、おかあさんといっしょのお手紙コーナーで絵が紹介されたことがある。

 ボクは17才だから、えーっとぐ~チョコランタンの頃かな、計算上はそうなるな、ほにゅうマンの絵を描いて紹介されたのだ。恐らく人生で初めて世間というものにボクが認められた瞬間である。人生最大の誉れである。

 この経験がなければ、ボクは今も絵を描くことはなかっただろう、それほどにまでおかあさんといっしょというのはボクの人生を作っているのだ。多分。

 そのテレビ越しにしか見てこなかった世界が今、初めて肉眼で見れるところまで近づいている。こんなもの感動しない方が嘘に決まっている。

 

 感動のまま、コンサートは続く。どれもテレビで聞いた曲ばっかりだ。どの曲も口ずさめる。なぜ。

 そして、問題の5曲目に差し掛かった。

 「クレヨンロケット」だ。ここで白状するが、ボクはおかあさんといっしょの曲の中で一番好きな曲がクレヨンロケットだ。この曲にはこの世の全て希望が詰まっている。ボクの人生における発射のエネルギーは飛びたい気持ちだ。

 それが生で聴けるなんてこんな幸せなことはあるのだろうか、いやない。

 しかし……しかしだ。なぜ、ここでクレヨンロケットが?たしかに大人気曲だと思うし、ボクも大好きなクレヨンロケットだが……?

 

 ここでちょっと横道に逸れよう。

 ボクには職場にパパ友がいる。いや、正確にはボクに子どもはいないので、パパとただ毎朝Eテレを見てるおっさんなのだが、ここで言葉の意味を正しくすることに意味なんてない。止そう。

 そのパパには2才半になる娘さんがいる。つまりおかあさんといっしょ歴2年半のパパだ。ボクはそのパパとよくEテレトークをする。

 当然、コンサートに行ったことも自慢したし、クレヨンロケットを聞いたことも自慢した。

 しかし、そのパパはこう言ったのだ。

「すいません、その歌知らないです」

 ……。

 そう、クレヨンロケットは。

 ゆういちろうおにいさんになってからレギュラーソングになっていないのだ。

 

 レギュラーソングというのはおかあさんといっしょの中でいわゆるMV付きで流れる曲達のことだ。一度、MVが付けば、その曲はことあるごとに流される為、みんなが覚えるのだ。

 しかし、レギュラーソングから外れてしまうとその曲は子どもにとっては知らない曲である。

 ボクにとっては人気No.1ソングであるクレヨンロケットであっても知らない曲になってしまうのだ。

 

 戻ろう。

 そんなクレヨンロケットを聴きながら、感動と共に僅かな違和感がボクの中を駆け巡り続ける。

 ステージ上ではロケットを模した張りぼてが駆け巡っている。

 クレヨンロケットが終わる。

 すると、その張りぼてが開いた。

 出てきたのだ。

 

 ガラピコぷ~だあああああああ!!!!

 

 あの前の人形劇であるガラピコぷ~のみんながしずくぼしから駆け付けてくれたのである。ボクの為に。

 そう、今日はスペシャルステージ、ファンターネのみんなの他にもかけつけてくれるのである。

 つまり……。

 

 シュッシュとポッポだああああああ!!!!

 

 おとうさんといっしょに出ているシュッシュとポッポも駆けつけてくれた。もちろんゆめちゃんとまさともも来てくれた。

 ちなみにおかあさんといっしょに対して知名度が低いせいでスーパーカラフルギャラクティックエクスプレスが流れたときに、「これ何の曲?」と兄に聞かれた。みんなも見よう、おとうさんといっしょ。

 でも、おとうさんといっしょがあるってことは当然、あるよな、あの大人気アイドルグループの出番も……

 

 チョコレートウィッチの魔法だああああああああ!!!ピンクドラゴンだあああああああああ!!!!

 

 立て続けに来るファンサービスの奔流にボクは押されっぱなしである。

 出る曲出る曲に感情がいっぱいいっぱいになっていて、気が付いたらコンサートは終わりを迎えていた。

 

 やはり、推し活は健康によい。

 すべての心の中の邪悪が消え失せたように清々しい気持ちでボクは明日を迎えられる。

 明日だ。

 この記事の公開日の翌日、9/23の朝9時よりおかあさんといっしょスペシャルステージ2022の模様がNHKEテレで放送される。

 みんな見よう、見てくれ、頼んだぞ。放送はさいたまの収録らしいけど。

 

 おまけ

 姪はずっと真顔でコンサートを見ていました。いつものことです。

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