今日はちょっと変わったお話をしよう。
まず、今回、我々が向かったのはボリビアである。
ボリビアの中での最大の目当ては何かというとそれはもちろん、ウユニ塩湖である。
ウユニ塩湖と言えば、大変、景色が美しいことで有名だ。
だが、それ以外、何かウユニ塩湖について皆さんは知っていただろうか?
私は知らない。
実は、この世界一周旅行の旅程を他人に話す時に、もっとも反応が大きかったのはウユニ塩湖であったし、旅的にもかなり終盤で皆から言われる度に、なんとなくここが世界一周のクライマックスなんだな、と感じていた。
結論から言うとウユニ塩湖はとても美しかったし感動した。
ただ、美しい景色は刹那的なものである。
前に、私は「絵は3秒で消費できる」と言ったと思う。
ウユニ塩湖の景色に関しても同様である。
そして、ウユニ塩湖というでかい括りで見て、消費できる要素がウユニ塩湖の風景というただ1つしか存在しないのだ。
ウユニ塩湖は素晴らしいものである。
それはまったく否定しない。
ただし、その美しい風景をただボーっと数時間も見続けられるような人間はどれほどいるだろうか?
そんな人間、1厘にも満たないほど稀有な存在ではなかろうか?
少なくとも私は耐えられるほど感傷的な人間ではない。
じゃあ、どうやって時間を潰すのだろうか?
遠路はるばるやってきて、一瞬見て、ハイ綺麗だったね、終わり、とはいかないだろう。
それを解決する時間潰しアクティビティこそが映え写真撮影だったのだ。
世はまさにSNS全盛期でやってないヤツは置いてかれる、映え写真こそが正義、この世のすべての経験は自己顕示欲の誇示の為に使用される時代である。
そういう意味ではウユニ塩湖というスポットはまさにSNSの申し子、時代の寵児である。
ということでウユニ塩湖に連れてこられた我々はこの美しい景色に対する感動もそこそこに、突然、ガイドさん達が用意した映え写真撮影が始まるのだ。
うーーーーーーん、別にそれほど興味ないんだよなぁ。
友人同士の悪ノリならわかるんだけど、現地のガイドがツアーの一環として写真の撮られ方まで指導してくれて、撮られる写真ってそんなに面白いもんでもないからな……。
まぁやれと言われるままにポーズは撮りますけれども。
別に写真撮られたくてウユニに来たわけじゃないしな。
しかし、これは誰が悪いわけでもないのである。
ツアーサイドはツアーサイドなりにお客様にウユニ塩湖で楽しく時間を潰してもらう為の苦肉の策であるだろうし、また、過去の客の中にはそれを楽しく受け入れていた人も多かったのだろう。
だが、こちとら野郎二人でやってきているのである。
野郎二人でいちゃいちゃしてる風の写真を延々と撮られてもまぁそんなに嬉しくないというか……。
この撮影会だって、客を喜ばせたいという善意から始まっている。
それがわかっているからあまり無碍にもできないというか。
ということでとても楽しそうに写真を撮っているようにSNS上では見えているかもしれませんが、実際は皆さんが想像している程、こっちは楽しんじゃいないんですよね。
あんなにノリノリに見えるのにって?楽しくないことを楽しもうと努力するのが大事なんだよ、会社の飲み会と一緒だ、んなもん。
しかし、第三者から見ると大変楽しそうに映るので「私も行ってみたい」とそういう悪(とは言い切れないけれども)循環が生まれてしまうわけです。
でも、旅行って別に写真を撮るためだけに行くもんじゃないですよね?少なくともボク的にはそうなんです。
そもそもSNSってのは人物の表面しか映し出さない都合の良い鏡でありまして、実際に会ってみるとこんな人間なのかと拍子抜けすることもしばしば。
本当に怖い時代になってものです。
ネットで出会った人、特にSNSでしか知ってないような人なんて畢竟、何も知らないも同然ですからね。
今、ここでわざわざボクの駄文を読んでくれている人だってボクのことを何も知りゃせんのですよ。
知ってくれとも思わんが。
最後に、ウユニ塩湖はとてもいいところです。
しかし、天候さえうまく行けば一瞬で仕事が済んでしまうようなところでもあるので、もし新婚旅行で「1週間ウユニ塩湖♡」とかいうのはあまりおすすめできないかな……。多分、旦那さんが飽きて不機嫌になるよ。
雨期だと天候待ちがあるのですぐにいい写真が撮れはしないだろうけど、そもそも新婚旅行の大半が天候待ちというのも辛かろうて。
良くも悪くもSNS時代に過大評価されすぎた場所じゃないかな?ボク的には思うわけで。
それではまた次の国になるのかな?ラパスも書くのかな?まだわからないけど、バイバイ!
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