海外の国の中にはたとえ観光目的の滞在であっても事前のVISAの申請がいる国がある。
次に向かう国、インドもVISAの申請が必要な国だった。
とはいえ、申請はネット上でやれるし、申請後数時間で受理されるからそこまで大変なわけではない。
もちろん、我々も申請を済ませた上でこの旅行に臨んでいた。
さて、話は変わるが、我々は電車を乗り過ごした。
気づいたのが早く、2駅過ぎたところだったので、十分リカバリーの効く範囲内だった。親切なおばちゃんが「パヤタヤは向こうのホームに行くんだよ」と教えてくれた。ありがとうおばちゃん。
しかし、乗り過ごしたという事実には変わりなく、我々は15分ほどタイムロスをしてしまった。
だが、我々は時間に余裕をもって行動をしている。
時間に余裕を持つというのはこのような不測の事態が起こったとしても対処する余裕があるということだ。むしろ、時間の有効活用ともいえる。
よかったよかった、私達はまだミスをしてはいない。
まぁちょっと遅れたが無事、空港に辿り着いた。
さっさとチェックインをしてしまおう。
今回のフライトはトランジット(乗り継ぎ)がある。
なので、ダブルチェックインだ。途中、一瞬だけクアラルンプールに寄る。
しかし、クアラルンプールでのトランジット予定時間はわずか1時間20分。飛行機が遅れたらもっとタイトになるし、搭乗開始時刻的には空港についてわずか20分しかない。
しかもクアラルンプールの空港は広く、搭乗口次第ではバス移動の可能性もある。
そして、トランジットが短いということは当然、あのリスクも増える。
そう、次の空港に荷物が届かないヤツことロストバゲージだ。
これに到ってはもう祈るしかない。
そう祈りながら、チェックインをしていると受け付けの人に聞かれた。
「Are you have a VISA?」
多分、こんな感じ。英語がわかんないので、セリフは間違っているだろうが、要はVISAを出せと言っているんだろう。
本来、チェックイン時点でVISAの提出は不要だが、トラブルを避ける為に事前にチェックをしてくれるみたいだ。
我々は各自プリントして持ってきたeVISAを差し出す。
おや?なにやら受付の顔つきがおかしい。
「Excuse me.Please say VISA 10 times.」
「VISA VISA VISA VISA VISA VISA VISA VISA VISA VISA.」
「What is this paper?」
「HIZA.」
「No.This is not VISA.」
なんだって!?!?!?
ニコライさんの持ってきた資料がeVISAではないというのだ。
たしかにボクの出したeVISAとは趣が異なっているが、そういうもんなのかと流してしまっていた。そんなわけない。
インドに行くまでにeVISAが必要だ。どうやらプリントする場所を間違えていたらしい。
焦って、HPを確認する。ネット上で申請しているからネットに繋がりさえすれば、その場でpdfをダウンロードできる。
そこでボクも気づく。
逆にニコライさんが印刷していた資料をボクは持っていない。
いや、指摘されていないから必要ない可能性もあるけど、今見ているやさしいインドVISA申請方法のページには両方プリントして持っていけ、と書いてある。
ふう2アウトといったところか、不味いことになったな。
ここに来て、電車を乗り過ごしたタイムロスがじわじわと効いてきた。
ニコライさんは無事eVISAのpdfを開き、これでいいのかと確認する。
OKだ、そうだ。これをプリントしさえすればインドに降り立つことができる。
プリントしてくれるところは2つ下の階にあるそうだ。
我々はチェックインを済ませ、荷物を預けると大慌ててエスカレーターを下った。
しかし、どこがプリントをしてくれるところなのかわからない。
そのへんの人を捕まえ「Printing Service?」と聞く。
アッチらしい。
アッチへ向かうがまだわからない。
もう一回聞く。そこのPoliceらしい。
ポリス!?!?
ボクら警察にお世話になるの!?!?
でも行け、って言われたんだから、もう迷っている暇はない。
警察に飛び込んで壊れた人形のように「Printing Service?」と言い続ける。
そこのQRコードを読み取ってラインでpdfを送りつけろ、と言われる。
し……親切〜〜〜〜!!!!!
ここで自分でパソコンとかを操作してプリントしろって言われたらアウトだったかもしれん。
30バーツ?
おうおうそんなんいくらでもくれてやるよ。
ありがとう、本当にありがとう。
こうやって警察にお世話になりながら、なんとか2人とも同じ書類を手に入れたので、急いで出国検査へ向かう。
時間はあまりない。
なんとか機乗時間には間に合った。
しかも、既に不備があったせいで心臓はバクバクだ。
このeVISAが間違っていて、入国できないかもしれない。
いや、そもそも飛行機が遅れてトランジットに失敗するかもしれない。
ロストバゲージの可能性もある。
しかし、一つ関門を越えた我々は普段通りの冷静沈着な様子を取り戻し、一つ、定義することにした。
インドに入国できたら、その時点で負けはない、と。
ロストバゲージは引き分けだ。
ここからの我々の勝利への執着は凄まじかった。
クアラルンプールに到着した時点ですでにゲートオープンしているインド行きの飛行機に流れるように乗り込む。
そして、入国審査では幸いにも愛想のよいおっさんにあたった為、こちらも笑顔で通過することができた。VISAも問題なしだ。
そして、最後、スーツケースだが……あった!!!!あったあった!!!!
スーツケースも無事届いていた。
もはや、我々の完全勝利である。
先発は崩れたが、その後のリリーフ陣が追加点を与えず、逆転勝利である。
勝てば、良いのだ。
いや、駄目でしょ。
ヒヤリハットの法則というものがある。
ヒヤリとすることが100回あったら、1回は事故が起こるというやつだ。
これは完全にヒヤリ案件でしょ。
皆さんも海外旅行に行く際には十分に準備を行い、常に余裕を持って行動することを心がけてほしい。
私達は偶然にも無事、入国できたが、これはいつか事故る前兆なのだと。
本当は一カ国1記事しか書かないつもりだったんだけど、珍道中だったのでトランジット経由地のマレーシアの記事ということにして書いてしまった。
もうやらないからね。
PS.
ああ、やめて空港からホテルまでのタクシーで車の上にスーツケースを載せて爆走しないで!!!命からがらここまでやってきたスーツケースなの!!!これ以上、心臓に悪いことをしないで!!!
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