〜前回のあらすじ〜
マイアミでの入国審査に引っかかり別室に連れて行かれた。誤解はとけ、入国できたもののすでにフライト予定時間から1時間が経過していた。どうなる、なびるな!?
※ガイドさんに聞いたら英語が喋れる云々というより、中東や南米に行った人に対する入国審査がめちゃくちゃ厳しいらしいよ!一度、行ったらずっと厳しくなるらしいよ!困ったね!
現在の時刻はだいたい朝の9時。
とりあえず、航空会社のカウンターに行って、フライトの振り替えをしてもらわねばならない。
荷物を抱えてカウンターへと急ぐ。
「入国審査に時間がかかってしまいました。振り替えをおねがいします」
「今から振り替えると確実に乗れる便は午後6時の便ですね(意訳)」
6時!?
フライトが約3時間だからニューヨークに着くのは9時!?
ニ「それは困る!私達はヤンキース対レッドソックス戦のチケットを買ってある!なんとか間に合わんか?」
ここでニコライ・ボルコフ、必死の抵抗。
そう、ニューヨークで色々観光するのは一旦諦めるにしても、我々はメジャーのチケットをすでに買っていた。
試合開始時間は7時10分。
そのフライトじゃ到底間に合わない!
「あら、それは行きたいわね。OK!じゃあキャンセル待ちのStandbyチケットを出しましょう(意訳)」
優しい!親切!理解がある!
横柄な入国審査官に尋問を受けていた我々が久々に感じる人の優しさだった。身に沁みる。人間に生まれてきてよかった……。
「あなた達にはこれから3回のチャンスがあります。6時のフライトの前に12時、2時、4時の3回ニューヨーク行きのフライトがあります。ここにキャンセルが出れば、乗ることができます。
あなた達は国の都合でのフライトロストなので優先度1番です。幸運を祈ります(意訳)」
ありがとう……優しいカウンターのおばちゃん……。
「あとスーツケースは12時の便で持ってっちゃうので、荷物だけ先に届きます(意訳)」
なるほど、荷物は先に届くから何時の便で行ったとしてもニューヨークで受け取りができるというわけか。賢い。
我々はチェックインを済ますととりあえず初めのキャンセル待ちフライトのゲートD43に向かった。
ここで話を整理しよう。
メジャーの試合開始が7時10分。
ここからニューヨークまでのフライト時間が3時間。
ニューヨークの空港からヤンキースタジアムまでが電車だと諸々1時間程度、タクシーだと15 分程度。ただ、空港でなんやかんやあるから少なくとも+30 分は見ないといけない。
つまり、12時のフライトに乗れた場合、到着は3時。これならホテルに荷物を預けに行ってからヤンキースタジアムに迎える余裕のある時間帯だ。
次の2時の便だと5時到着。ギリギリで、荷物を預けに行ったりしてたらちょっと試合開始に遅れるか?と行ったところだが、このフライトに乗れれば許容範囲だろう。
そして、4時の便。これだと7時到着だから試合開始には絶対間に合わない。
最後に、6時。何もかもアウト。ただこの便には確実に乗れることが確定しているので、今日、ニューヨークに行けないということはない。
ゴタゴタで食事も取れていなかったので軽くメシを食べ、キャンセル待ちの勝手もわからないので早めにゲートD43付近に戻り、なんか呼ばれるのかとヒヤヒヤしながら待つ。
ゲートが開いた。
通常の客がドンドン乗り込んでいく。何もアナウンスがない。ということは事前のフライトキャンセルはなかったということだ。
しかし、稀にフライト時間までにゲートに来ない客がいる。8時の便の我々だってそうだ。
そういう客が発生した場合もキャンセル待ちの人は乗ることができる。
果たして……。
『ファイナルコール』
来ないとゲートをもう閉めますよ、とアナウンスが宣言する。
これはつまりだ、誰かが来ていないということ?
「OK。シートが空きました(意訳)」
なんと、すんなりと12時の便でキャンセルが出てしまった。つまり余裕をもってヤンk
「シートの空きは1枠です(意訳)」
1枠かーーー!
実は我々もその可能性を危惧していた。
キャンセルが都合よく2枠出るとは限らないのだ。
その場合、どうするかも一応、相談していた。
ニ「乗ります」
ニコライさんが先に単独で乗る、だ。
次以降の便で都合よく2枠なんて出ない。それなら1人ずつでも早く乗ったほうがメジャーを見られる可能性が高い。
しかし、ニコライ、ここでとても不安げな顔をしてこちらを見る。
当然だ。
ただでさえキャンセル待ちの勝手がわかってないというのに、こちとら英語が喋れないのだ。
ニ「大丈夫、乗れる?」
本当に不安そうだ。安心してくれ、ボクもめちゃくちゃ不安だ。
しかし、早く決めろと急かされるのでいいから行けとボクはニコライさんを送り出した。
さて。
これからどうすればいいんだろう。
もう心細くて仕方がない。
今日ほど英語が喋れなくて後悔したことはない。
しかし、そうはいっても、何かミスったところで6時の便には必ず乗れるのだ。それだけは安心しておこう。
このあとどうすればいいのかがわからなかったので、とりあえずD43 を離れて掲示板を見に行くことにした。
なになに、次の2時の便はD50か、じゃあD50に行っときゃええんかな?
と、ボクはひょこひょことD50のゲートに向かった。
しかし、まだ係の人は1人もいない。まぁそうか、早すぎる。
時間を持て余しそうだったので、とりあえず、D43に戻ってみることにした。
そして、戻った瞬間だった。
「じゃあ、次のフライトへのスタンバイリストに振り替えます。そこのあなた(意訳)」
そこのあなた、とはボクのことである。顔を覚えられている。
ボクはチケットを差し出すと、これでスタンバイリストを書き換えたからD50に行けと言われた。
……。
あぶねーーーーーー!!!
早速、ミスって詰むところだった!!!そうか、キャンセル待ちに失敗したらそこで待って、次のフライトにリストを書き換えてもらわないといけないのか!!!これ、戻らなかったらその時点で詰んでたやつじゃん!!!あぶねぇ!!!
九死に一生を得るとはまさにこのこと、ボクは今一度、D50に行けば良いのかと確認を取った上で、D50へ移動した。
ここでまた延々と待つのだが、先程までと違いここからは一人体制だ。
どんなアナウンスも聞き洩らせない。
そして、ボクは英語のリスニングに自信は一切ない。
もうボクはゲートが開いた瞬間から過剰なまでにカウンターの近くでずっと立って待ってた。
市○先生ごめん。
※高校1年のときの担任で英語の先生。
オレ、もっと真面目に英語をやっとくべきだったよ。いつも赤点で本当にごめん。結局、英語できなくて大学受験は2次に英語がないところに行ったんだ、オレ。本当にごめん。
心の中で恩師に謝りながら、アナウンスをひたすら待つ。
キャンセルなし!
ゲートが閉まりました!本便、キャンセルなしでございます!
しかし、ボクは知ってるぜ、ここでとりあえず黙って待ってればいいんだろ?
ここで経験を活かし、余裕綽々「ネイビィリューン」で待つ、なびるな。ここで名「ネイビィリューン」前を呼ばれたらカウンターにチケットを出
「あなたが呼ばれてるんじゃないの?(意訳)」
隣に立っていたお姉さんに声をかけられる。いやいやそんなわけないでしょう、ボクの名前はな
「ネイビィリューン・ボルコフ」
あ、ボクだボクだ。
これ、ボクのこと呼んでるわ。
※実際には本名なので違う呼ばれ方をしてますが、もっとわかりにくかったです。わかるかよ、んなもん!
ボクはチケットをカウンターに出す。
なになに次はD2に行けって?
はいはいわかりましたよ。
この時点で2時半を回っている。そろそろニコライさんはニューヨークに着く頃だ。
フライトに乗れなかった旨を連絡せねば。
『ごめんなさい、同窓会にはいけません。私は今、海外にいます。もう次の便に乗っても間に合わないのでボクを見捨ててメジャーに行ってください』
とりあえずこう伝えて、次のゲートへと移動……ってD2遠すぎやしないか???空港を端から端に横断してるんだが???まぁ時間だけはあるし、ええか……。
そして、D2辿り着き「Hey,guy!Your cellphone is very small!」「センキュー」などと見ず知らずの兄ちゃんと心温まる交流などをしつつ待っていると、ゲートが開いた。
ここでフライト時間は20分の遅延が発生していた。
先程までと同様にボクは聞き耳を立てて、カウンターの前で待「ネイブルーン」「なびるなです!」
まだ搭乗中にキャンセル発生である。
やっと……やっと飛行機に乗れる。
ボクはゲートに並び、飛行機の一番後ろの通路側、本当に最後に余った席なんだろうな、という席に座る。
4時20分フライト。
そして爆睡(昨日から寝てない)。
体感30分、実際には7時20分、ニューヨーク着。
ボクは真っ直ぐにタクシー乗り場に向かう。
実は、飛行機に乗る前にニコライさんから連絡が届いていた。
『スーツケースはまとめて回収しちゃってホテルにチェックインしておくから、直接球場に来れば、途中からだけど試合見れるかも』
ボクはその言葉を信じて、タクシーに飛び乗った。
7時40分。
「ヤンキースタジアムで!」
ボクはタクシーの運ちゃんに伝える。
後部座席に着いて、Twitterを開くとすでにニコライ・ボルコフはメジャーの実況ツイートをしていた。羨ましい。
さて、問題はオールクリアかと思いきや、実はまだ問題が残っている。
荷物だ。
おや?スーツケースはないんだから問題はないのでは?とお思いだろうが、メジャー観戦は手荷物検査が厳しく、ビデオカメラやノートパソコンを持ち込むことが禁止されている。
ボクは手荷物の中に360°カメラとタブレットが入ってるのでほぼ間違いなくアウトだ。
そして、球場にはなんとロッカーや預け所は存在しないらしい。
なんてことだ。
つまり、このままだと球場に入れない。
ってかおい!タクシーのメーターの回り、おかしくないか?まだ10分くらいしか走ってないのに50ドル(≒7000円)超えたぞ!ニューヨークのタクシーおかしくないか?
いや、今はそれどころではない。
見なかったことにして、やり過ごすことにする。結局15分しか乗ってないのに70ドル(≒10000円)くらい払った。
しかし、魔法のカードを使うことで実質0円と換算しタクシーを降りる。
一本道を走り抜ければ、ヤンキースタジアムだ。しかし、手荷物をどうにかせねばならない。
ググった感じちょっと古いブログ記事によると近くのスポーツ用品店にはロッカーがあるらしいが、どこまで信憑性があるもの、あった!!!!
めちゃくちゃすぐ見つかった!
あのスポーツ用品店の看板、Have a Locker.って書いてある!
ボクはすぐに飛び込むと荷物を預ける旨を伝える。
20ドル!?(≒3000円)
いや、ボクは聞かなかったことにして、魔法のカードで会計する。
なんと試合終了から30分後までは必ず店を開いているらしい。
なんて親切な店なんだ!ありがとうスポーツ用品店!神!
8時、万全の状態でヤンキースタジアム6番ゲート着。
えーなになに2番ゲートに来いと……真反対じゃねぇか!
なびるなは走った(マジ)、なびるなの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。
2番ゲート。
ニコライ・ボルコフと合流。
実に8時間振りの再開である。
試合は4回裏。間に合ったのだ。
ん?
いや、間に合ってないな。
まぁいいや、メジャー観戦楽しかったし。
終わり良ければ全て良し。
アメリカだいすきー。
では、次回またお会いしましょう。
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